ITストラテジストの過去問を解説!令和4年度(2022年度)春期 午前2(問15)

ソフトウェア技術
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令和4年度ITストラテジスト試験の過去問解説連載です。
この記事では午前2 第15問を解説します。

問15:SoEに関する問題

企業システムにおけるSoE(System of Engagement)の説明はどれか。

ア 高可用性、拡張性、セキュリティを確保しながら情報システムを稼働・運用するためのハードウェア、ソフトウェアから構成させるシステム基盤
イ 社内業務プロセスに組み込まれ、定型業務を処理し、結果を記録することによって省力化を実現するためのシステム
ウ データの活用を通じて、消費者や顧客企業とのつながりや関係性を深めるためのシステム
エ 日々の仕訳伝票を入力した上で、データの改竄、消失を防ぎながら、取引データベースを維持・管理することによって、財務報告をおこなうためのシステム



解説:SoEとSoR

SoEとはSystem of Engagementの頭文字をとった略称で、顧客とのつながりに着目したITシステムのことをさします。”顧客とのつながり”という表現は漠然としていますが、類似の語句であるSoRを知ると理解が進みます。

SoR (System of Record)

SoR(System of Record)はデータの記録をおこなうITシステムをさします。入力されたデータに対してなにか処理をして、処理結果をデータとして出力します。データの入力から始まり、データの出力で終わるシステムと言えます。

SoRにおいてデータの入力をするのは人であり、処理結果は他の人へ向けた指示や依頼という形で出力されます。
例えばメールでは、書き手はデータを入力(メール送信)し、メールシステムはデータを処理(通信機能によって転送)し、読み手は出力データ(メール)を受信します。メールを受けた読み手は、書き手からの依頼や指示に基づいて作業に着手します。

SoRの領域では、入力データの構造やシステム内での処理手順、出力データが正確に定義されます。データ入力前と出力後の作業も確立されていることが前提となります。システム設計の初期段階で、業務フローやデータフローを決めることが必要となります。従来からあるITシステム開発は大半がSoRといえます。

決まったデータを使って決まった作業を確実に実施することが目的なので、SoRでは安定稼働に重きをおくことが一般的です。そのため可用性や信頼性、セキュリティは高い水準を求める傾向が見られます。

SoE (System of Engagement)

これに対してSoE(System of Engagement)はデータを(取り出して)ビジネスに活用すること、特に顧客とのつながりを促すことに重きをおきます。

SoRの場合はデータ出力後の工程にいるのは業務の実務者でしたが、SoEでは後工程にはお客様がいると考えることができます。場合によっては取引先や自社従業員も対象とすることがあります。具体的には次のようなものが挙げられます。

  • 宅配の荷物追跡(問合せ)サービス
  • ECサイトのレコメンド(おすすめ商品の表示)
  • 顧客関係支援(CRM)

解説

ア 

可用性や拡張性、セキュリティに重きをおいていることから、SoRといえます。

イ 

「業務プロセスに組み込まれる」ことからこのシステムを使った業務はすでに定型化されていることが読み取れます。また「定型業務を処理」、「結果を記録」ということから、SoRといえます。特に省力化を目的としていることから、RPA(Robotic Process Automation)を念頭に置いていると考えられます。

ウ 

「データの活用」、「消費者や顧客企業とのつながりや関係性を深める」ということから、SoEといえます。

エ 

「日々の仕訳伝票」を「入力」ということから、人が定型データをシステムに入力していることが読み取れます。また「財務報告」はその業務フローが定型化されていると考えられますので、この選択肢はSoRといえます。

正解は ウ です

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