ITストラテジストの過去問を解説!令和4年度(2022年度)春期 午前2(問6)

ソフトウェア技術
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令和4年度ITストラテジスト試験の過去問解説連載です。
この記事では午前2 第6問を解説します。

問6:ダイナミック・ケイパビリティに関する問題

D.J.ティースが提唱したダイナミック・ケイパビリティの説明として、適切なものはどれか。

ア 環境の変化がない状況のもと、経営資源を効率的に活用し、既存の業務システムを用いて利益を最大化する能力
イ 環境の変化を感知し、機会を捉え、組織内外の資源を再編成することによって、変革を行い、持続的競争優位を確立する能力
ウ 既存の競争枠組みの中でフォロワの地位を長期的に維持するために、リーダの戦略や製品の特徴・価格を模倣する能力
エ 専門分化した大規模な組織において、上意下達の指揮命令の下、各自が担当する業務を所定の規則に従って遂行する能力



解説:ダイナミック・ケイパビリティ論

ダイナミック・ケイパビリティとは、”環境や状況が激しく変化する中で、企業が、その変化に対して事故を変革する能力”です。企業変革力などと表現されることもあります。この概念は経済産業省が公開した2020年版ものづくり白書でも言及されています。もとはカリフォルニア大学バークレー校デイヴィッド・J・ティース教授が提唱した戦略経営論です。

ケイパビリティとは、自社固有の資源を利用する能力のことで、企業の競争力の源泉と見る概念です。ケイパビリティには「オーディナリー・ケイパビリティ(通常能力)」と「ダイナミック・ケイパビリティ(企業変革力)」の2つがあります。

オーディナリー・ケイパビリティとは

経営資源を効率的に利用して、利益を最大化しようとする能力のことです。ダイナミック・ケイパビリティ論を提唱したデイヴィッド・J・ティース氏は「ものごとを正しく行うこと」と表現しています。
利潤を求める企業にとって、オーディナリー・ケイパビリティを高めることが重要なのは当然です。

ダイナミック・ケイパビリティとは

オーディナリー・ケイパビリティと比較して、「正しいことを行うこと」と表現されます。さらにその能力は次の3つに分類されます。

・感知(センシング):脅威や危機を感知する能力
・捕捉(シージング):機会を捉え、既存の資産・知識・技術を再構築して競争力を獲得する能力
・変容(トランスフォーミング):競争力を持続的なものにするために、組織全体を刷新し、変容する能力

これらに基づいて選択肢を吟味します。

 

ア 

「経営資源を効率的に活用し、既存の業務システムを用いて利益を最大化する能力」とあるので、オーディナリー・ケイパビリティのことです。

「環境の変化を感知」は感知(センシング)、「機会を捉え」は捕捉(シージング)、「組織内外の資源を再編成することによって、変革を行い」は変容(トランスフォーミング)に当たるので、ダイナミック・ケイパビリティのことと言えます。

コトラーの「競争地位別戦略」におけるフォロワーの地位を維持する(フォロワー戦略の)ために必要な能力です。

職能評価制度における職務遂行能力のことといえます。

正解は イ です

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