令和3年度ITストラテジスト試験の過去問解説連載です。
この記事では午前2 第8問を解説します。
問8:分析モデルに関する問題
AIDMAモデルの活用方法はどれか。
イ 製品と市場の視点から、事業拡大の方向性を市場浸透・製品開発・市場開拓・多角化に分けて、戦略を検討する。
ウ 製品の相対的市場占有率と市場成長率から、企業がそれぞれの事業に対する経常資源の最適配分を意思決定する。
エ 製品の導入期・成長期・成熟期・衰退期の各段階に応じて、製品の改良、新品種の追加、製品破棄などを計画する。
解説:AIDMAモデル
AIDMA(アイドマ)モデルとは、消費者が購買を決定するまでのプロセスをモデル化したものです。消費者は
- Attention:その商品の存在に気づき
- Interest:興味を持って
- Desire:欲しいと思い
- Memory:その商品を記憶し
- Action:購買行動に至る
というプロセスを辿るものと考えます。
顧客・消費者がどの段階にいるかを分析し、プロモーションやコミュニケーション方法を変えるような戦略をとることに役立ちます。
商品に興味を持っておらず、欲しいと思っていない人に商品スペックや価格、アフターサポートの説明をしても、商品を購入してもらえる可能性はあまり高くありません。一方ですでにその商品を欲しいと思っている人にとっては購入を後押しするインプットになるかもしれません。
消費者がどの段階にあるかで対応方法や提供する話題(コミュニケーション)を変えることの重要さがわかるかと思います。
ア
AIDMAモデルの説明です。このモデルで分析できること・目的は「消費者の心理的な段階ごとにコミュニケーション方法を検討する」ことです。
イ
アンゾフの成長マトリクス(リンク先:中小企業庁)の説明です。このマトリクスは企業の成長戦略を検討することに活用されます。「既存市場と新規市場」「既存製品と新規製品」の観点でマトリクスを分類することが特徴です。
ITストラテジスト試験としても平成27年度午前2 第6問や令和元年度午前2 第7問で出題されています。それぞれリンク先のエントリーでマトリクスやフレームワークの解説を載せているのでご参考に。
ウ
プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)分析の説明です。このマトリクスは投資先とその配分を検討することに活用されます。「市場成長率が高いか低いか」「自社製品の市場占有率(市場シェア)が高いか低いか」の観点でマトリクスを分類することが特徴です。
具体的には次のような分類をします。
- 市場成長率 高 × 市場占有率 低:問題児
この製品の市場に新規参入した段階です。投資して育てることで「花形」への遷移をめざします。成長せず時間だけ経過(市場成長率が低下)したときには「負け犬」に遷移することもあり得ます。 - 市場成長率 高 × 市場占有率 高:花形
文字通り稼ぎ頭です。ただ市場はまだまだ成長するため継続投資も欠かせません。 - 市場成長率 低 × 市場占有率 高:金のなる木
一般に「花形」にいた製品が時間の経過(市場成長率の低下)とともに遷移する先です。市場成長率が低いため投資を行う必要性はなく、コストカットをしながら売上を維持する体制に移行するフェーズです。達成されたときには、金はかからないが利益は残せる「金のなる木」となります。 - 市場占有率 低 × 市場占有率 低:負け犬
撤退のお知らせです。
エ
製品ライフサイクル(プロダクトライフサイクル)の説明です。このフレームワークは製品の戦略を検討することに活用されます。製品を市場に投入してから終了(撤退)するまでを時系列で「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」に分類することが特徴です。
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