はじめに
2015年度(平成27年度)の過去問を説いて勉強するエントリ第3弾です。
前回のエントリはこちら。
今日の問題
出典:平成27年度 秋期 ITストラテジスト試験(ST) 午前2 問8〜問12
IPAの過去問ページで原本を参照できます。
問9:市場の分析方法に関する問題
消費者市場のセグメンテーション変数のうち、心理的変数はどれか。
イ 性格、ライフスタイル
ウ 都市規模、人口密度
エ 年齢、職業
解説:消費者市場のセグメンテーション変数
消費者市場を細分化して分析するための観点として、セグメンテーション変数とよばれるものが使われます。代表的なものは大きく4つに分類されます。
- 地理的変数
文字通り地理的な要素のことです。国内か国外か、どの地方か、どの都道府県・市町村を対象とするのか、という具合です。オンラインビジネスでは必ずしも設定の必要はありません。
- 人口動態変数
年齢や性別、所得、職業など、どのような人なのか(属性)をあらわす要素です。単価の高い商品を扱う場合には所得や職業が重視され、不動産事業では家族構成なども重要な指標となります。 - 心理的変数
その人の趣味やライフスタイル、価値観など内面的な要素です。「安心・安全」を売りにする商品はどのような価値観を持つ人に刺さるか、と考えるときなどに使える変数です。 - 行動変数
購買行動やそのパターンのほか、商品知識などの要素をあらわします。車や白物家電は頻繁に買うものではないですし、食料品は毎週のように買いに行く人が多いかと思います。商品によって購買行動は異なるので、それに合わせた広告宣伝を考えるときに役立ちます。
したがって、心理的変数と言えるのは「性格、ライフスタイル」といえます。
ア:使用頻度やロイヤリティは「行動変数」、ウ:都市規模や人口密度は「地理的変数」、エ:年齢や職業は「人口動態変数」といえます。
ちなみに、B to B市場ではこれ以外にも変数がいくつか加えて考えることが多いです。
問10:マーケティング手法に関する問題
バイラルマーケティングを説明したものはどれか。
イ 個々の顧客を重要視し、個別ニーズへの対応を図るマーケティング手法である。
ウ セグメントごとに差別化した、異なる商品を提供するマーケティング手法である。
エ 人から人へと評判が伝わることを積極的に利用するマーケティング手法である。
解説:バイラルマーケティング
バイラルマーケティングとは、いわゆる口コミで不特定多数の人に商品やサービスを広める手法です。バイラル(viral)とは「ウイルス性の」などという意味で、ウイルス感染のごとく広まっていくさまを表現しています。口コミといっても、Face to Faceに限るものではなく、SNSやインターネットを通した広がりをさします。
これを踏まえて、選択肢を見ていきます。
ア:インターネット上での成果報酬型広告はアフィリエイトです。
イ:個別の対応を図る手法は、One to Oneマーケティングです。
ウ:母集団をセグメントごとに細分化しているので、セグメント内差別マーケティングです。
エ:人から人へ評判を広めているので、バイラルマーケティングといえます。b
問11:分析手法に関する問題
マーケットバスケット分析を説明したものはどれか。
イ 網の目状に一定の経緯と緯線で区切った地域に対して、人口、購買力など様々なデータを集計し、より細かく地域の分析を行う。
ウ 一定の目的で地域を幾つかに分割し、各地域にオピニオンリーダーを選んで反復調査を行い、地域の傾向や実態を把握する。
エ 商品ごとの販売金額又は粗利益学を高い順に並べ、その累計比率から商品を三つのランクに分けて商品分析を行い、売れ筋商品を把握する。
解説:マーケットバスケット分析
マーケットバスケット分析とは、顧客の購買記録(販売情報)から、一緒に購入される(組み合わせで売れる)商品を見つけ出す手法のことです。
これを踏まえて、選択肢を吟味します。
ア:購入商品の組み合わせを分析するので、マーケットバスケット分析と言えます。
イ:地域を網の目状に区切る、ということから地域メッシュ統計の説明です。
ウ:地域ごとに反復調査して傾向や実態を調査するので、地域分析の説明です。
エ:ある軸に基づいてランク分けしていることから、ABC分析の説明です。
問12:顧客生涯価値に関する問題
一人の顧客に関する顧客生涯価値の見積りで留意すべきことはどれか。
イ 顧客の平均購入単価よりも年間購入回数を重視する。
ウ 商品を新しく買い替える行為は考慮しない。
エ 新製品のプロモーション費用は対象としない。
解説:顧客生涯価値(Lifetime Value)
顧客生涯価値(Lifetime Value)とは、その顧客一人(法人の場合は1社)が生涯に渡ってもたらす利益の合計のことです。
ア:着目すべきはもたらされる利益であって、必ずしも顧客本人の購買行動である必要はありません。したがって、顧客の紹介は留意すべきことに入ります。
イ:購入回数を増やすことは売上利益を伸ばす手段のひとつですが、目的は利益を大きくすることなので、購入頻度も単価のどちらも重視します。
ウ:買い替えであっても売上利益が発生するので、考慮すべきことです。
エ:プロモーション費用は顧客が購買に至るまでにかかるコストと考えることができます。売上から経費(コスト)を差し引いたものが利益となるので、プロモーション費用も考慮すべきものです。
今日はここまで!
コメント