はじめに
ITストラテジスト試験とは、情報処理技術者試験の高度試験のひとつです。情報処理推進機構(IPA)によるとITストラテジストとは、
高度IT人材として確立した専門分野をもち、企業の経営戦略に基づいて、ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスについて、情報技術(IT)を活用して事業を改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する者。また、組込みシステム・IoTを利用したシステムの企画及び開発を統括し、新たな価値を実現するための基本戦略を策定・提案・推進する者
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/st.html
という人物像だそうです。
なぜこの話をしたかというと、私が受験するつもりなので、過去問を解いて勉強しようと思っているからです。
こうやってエントリに投稿してしまえば、勉強せざるを得ないので、受験のモチベーションとしても有効かなと。
これから何回にも分けて投稿をしていこうと思いますので、気になる方は随時チェックしてください。
今日の回答と解説
2019年(令和元年)度 秋期 午前2
このエントリでは、2019年(令和元年)度の秋期試験 午前2 のうち、問1から問5を解きます。
試験問題にも知財権は発生するので、転載はしません。IPAの過去問ページで参照をしてください。
問1:EAに関する問題
この問題を解くためにはエンタープライズアーキテクチャ(EA; Enterprise Architecture)とそれに紐付いた参照モデル(Reference Model)を理解しておく必要があります。
選択肢の文中で業務業務って何回も出てくるので知識なくても推測できてしまうんですよねぇ
EAには次のような基本体系があります。上に行くほど業務に基づく、下に行くほど技術に基づく概念です。
- ビジネスアーキテクチャ(Business Architecture)
- データアーキテクチャ(Data Architecture)
- アプリケーションアーキテクチャ(Application Architecture)
- テクノロジーアーキテクチャ(Technology Architecture)
それぞれのアーキテクチャで定義されている参照モデルは次のとおりです。
- ビジネス参照モデル(Business Reference Model)
- データ参照モデル(Data Reference Model)
- サービスコンポーネント参照モデル(Service Component Reference Model)
- 技術参照モデル(Technology Reference Model)
・業務
・データ
・機能
・技術
に着目して要素を分解・体系立てて図面に起こしてみましょう、という話です。
ということを踏まえ、選択肢を「業務」「データ」「機能「技術」の観点で吟味します。
ア:機能観点で分類した要素についての記述なので、サービスコンポーネント参照モデルです。
イ:プラットフォームやテクノロジーについて言及しているので、技術参照モデルです。
ウ:業務によって分類された要素についての記述なので、業務(ビジネス)参照モデルです。
エ:情報(名称・定義・属性等)を扱うことについての記述なので、データ参照モデルです。
問2:オープンデータに関する問題
首相官邸のWEBサイトに官民データ活用推進基本法の概略や背景・施策が簡単にまとめられた資料があります。
これが全てではないですが、この資料に基づくと次のようなポイントが読み取れます。
・新事業の創出で活力ある日本社会の実現に寄与(官民データ活用推進基本法第3条)
・多様な主体の連携を確保する(官民データ活用推進基本法第3条)
・官民データの活用を図るための基盤整備(官民データ活用推進基本法第3条)
これを踏まえると、選択肢ア〜ウは誤りということがわかります。
ていうか「オープン」に反する制約ともとれる文言が含まれるので知らなくても解けそうなんですよねぇ
問3:SCMに関する問題
この問題を解くにはSCOR(supply-chain operations reference-model)を理解しておく必要があります。
サプライチェーンマネジメント(SCM; Supply Chain Management)とは、原料の調達から商品がユーザの手に渡るまでの一連のプロセス(サプライチェーン)です。
自社内に閉じたプロセスだけでなく取引先や、取引先の取引先までも含めます。
SCORではサプライチェーン全体の実行プロセス(業務プロセス)を「トップレベル(レベル1)」「コンフィグレーションレベル(レベル2)」「エレメントレベル(レベル3)」に分けています。
それぞれのレベルでは、さらにプロセスが分類されています。
レベル1は次のとおりです。
- Plan (計画)
- Source (資材調達)
- Make (生産)
- Deliver (配送)
- Return (返品)
レベル1のプロセスをそれぞれ詳細化したレベル2では、次のようにプロセスタイプを分類できます。
- Planning (計画)
- Execution (実行)
- Enable (管理)
レベル2をさらに掘り下げたレベル3では、活動要素(エレメント)について具体的に定義します。例えば、その要素への入力や得られる出力などを表現します。
これを踏まえて選択肢を吟味します。
ア:資材購入は、サプライヤから自社への流れなので、自社のSourceに該当します
イ:納入は、自社から顧客への流れなので、自社のDeliverに該当します
ウ:納入後の作業は、顧客から自社への返品なので、Returnに該当します
エ:生産活動は、自社内に閉じたものなので、自社のMakeに該当します
sourceって言っているので自社に入力されるもの選べば勝手に正解するのでは
問4:製造業のビジネスモデルに関する問題
完全に知識問題です。EMS, OEM, ODMあたりも調べておくとよいです。
私もあまり詳しくない部分でした。
これまでの問題と違って電子機器とか製造という語句が各選択肢に散りばめられてて本当に知識問題になってる
問5:契約に関する問題
PIMBOKで論じられている「契約」に関するものです。
契約には「定額」と「実費償還」があります。このうち実費償還契約では、プロジェクト完了時にかかった費用全てと受注者の利益を上乗せした額を発注者が支払います。
したがってプロジェクトが完了するまで具体的な金額はわからず、経済的なリスクは発注者が負います。
これを踏まえて、金額の決定タイミングとその決定方法という観点で選択肢を吟味します。
ア:価格が注文時に確定しているので実費償還とはいえません
イ:プロジェクト途中で金額の調整はしますが、もとの金額をあらかじめ取り決めているので実費償還とはいえません
ウ:利益を配分しているので実費償還とはいえません
エ:費用すべてを発注者が負うので実費償還といえます
今日はここまで。続きは・・・
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