はじめに
ITストラテジストの過去問を解いて勉強するエントリ(令和元年度)第5弾です。
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今日の問題
出典:令和元年度 秋期 ITストラテジスト試験(ST) 午前2 問19〜問22
IPAの過去問ページで原本を参照できます。
問19
予測手法の一つであるデルファイ法の説明はどれか。
イ 将来予測のためのモデル化した連立方程式を説いて予測する。
ウ 同時点における複数の観測データの統計比較分析によって将来を予想する。
エ 複数の専門家へのアンケートの繰返しによる回答の収束によって将来を予想する。
問20
ベイズ統計の説明として、適切なものはどれか。
イ 事前分布・事後分布といった確率に関する考え方に基づいて体系化されたものであり、ディープラーニング、迷惑メールフィルタなどに利用されている統計理論
ウ 収集されたデータの代表値である平均値・中央地。最頻値を求めたり、度数分布表やヒストグラムを作成したりすることによって、データの特徴を捉える統計理論
エ ビッグデータの収集・分析に当たり、分析結果の検証可能性を確保し、複数の分析結果を比較可能とするために、対象をオープンデータに限定する統計手法
問21
製品X, Yを1台製造するのに必要な部品数は、表のとおりである。製品1台当たりの利益がX, Yともに1万円のとき、利益は最大何万円になるか。ここで、部品A は120個、部品Bは60個まで使えるものとする。
製品X | 製品Y | |
部品A | 3 | 2 |
部品B | 1 | 2 |
イ 40
ウ 45
エ 60
問22
投資効果の評価に用いられる内部収益率法(IRR法)を説明したものはどれか。
イ 投下した資金がどれだけの期間で回収できるかによって投資の有利性を評価する方法である。
ウ 投資から回収される現金収入(利益額)の現在価値が投資額に等しくなるような割引率を求め、基準の割引率よりも大きければ有利と評価する方法である。
エ 投資のよって生じる年々の平均現金流入額を投資額で割って投資利益率を算出し、投資利益率が高ければ有利と評価する方法である。
今日の解説
問19:予測手法に関する問題
デルファイ法とは、
・専門家へあるテーマについて質問/アンケートを実施する
・結果を統計処理して集約する
・その結果を専門家へ開示した上で再度同じ質問/アンケートを実施し回答の再考を促す
という手順を繰り返して、精度を高めた予測を得る手法です。
これを踏まえて、選択肢を吟味します。
ア:指標について特に定めはないので、当てはまりません。
この説明文は、不確実性を前提として、起きうる変化(シナリオ)を複数検討するシナリオプランニングという手法です。
イ:連立方程式を解くような手法ではないので、当てはまりません。
この説明文は、回帰分析という手法です。
ウ:扱うのは観測データではないので、当てはまりません。
この説明文は、統計的予想理論という手法です。
エ:アンケートを繰り返す手法なので、デルファイ法に当てはまります。
問20:統計手法に関する問題
ほぼ知りません。
分布に基づく確率論を使っていること、スパムメールフィルタに応用されているというのは有名ですが、それ以外は・・・といったところで、要学習ですね。
問21:生産計画の最適化に関する問題
線形計画法と呼ばれる手法で解きます。
おそらく大学の代数や統計の講義でないと扱いませんが、高校数学の知識で対応できます。解法パターン丸暗記ならば、ね。
平たく言うと、「ある条件の範囲内」で「最適そうな解」を求める手法です。論理は省略しますが、次の2点に着目すればなんとかなる、はず、です。。。。きっと。
・条件を表現できる複数の不等式を立てる
たいてい「ある条件の範囲」は不等式で、「最適そうな解」は等式で、それぞれ言い換え表現できるからです。
では、実際に問題を解きます。
製品Xの生産数をx, 製品Yの生産数をy, 部品Aの部品数をa, 部品Bの部品数をbとします。
まず、問題文中の通り、最終的に求めたいものは最大の利益の総額です。
利益の総額をpとおくと、製品の利益はXもYも1万円なので p = x + y
つまり y = -x + p と表現できます。
次に、pを表現している式に含まれる変数xとyに着目して、どのような条件が与えられているかを考えます。
問題文中には明記されていませんが、製品の生産数にマイナスはないので、次のように表現できます。
0 ≦ x, 0 ≦ y ・・・(1)
問題文中の通り使える部品数は a ≦ 120, b ≦ 60 で表現できますが、xとyに着目するので次のように表現します。(連立不等式)
3x + 2y ≦ 120 ・・・(2)
x + 2y ≦ 60 ・・・(3)
式を変形します。
y ≦ -(3x/2) + 60 ・・・(2)’
y ≦ -(x/2) + 30・・・(3)’
pを表す関数と、ここまでに判明した条件(1), (2), (3)を平面座標に書き起こします。
図中の黄色で囲われた部分が、この問題の解を探す範囲です。オレンジ点線はpをyについて表現した関数です。
後はオレンジ点線が黄色領域内に進入するまで徐々に下げていけばよいだけです。
したがって、最大の利益は 45万円なので ウ が正解です。
これを試験時間中にやるかと聞かれれば微妙ですね。正直なところ、選択肢があるので直感で値をぶち込んでもなんとなく解けちゃいます。。。
問22:投資対効果の指標に関する問題
IRR(Internal Rate of Return)とは、投資から得られるであろう将来のキャッシュフローの現在価値と投資額の現在価値が等しくなるときの割引率と定義されます。
この値が基準値よりも大きければ投資に有利だと判断するのが、IRR法です。
「今手に入るお金」と「将来手に入るであろうお金」を利回りで天秤にかける手法です。
今日はここまで!疲れた!
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