はじめに
今回は2015年度(平成27年度)の過去問を説いて勉強します。
なぜ2019年の次は2018年の問題ではなく2015年かというと、どうやら直前の過去問よりも数年前の過去問からの類問がよくみられるためです。
今日の問題
出典:平成27年度 秋期 ITストラテジスト試験(ST) 午前2 問1〜問3
IPAの過去問ページで原本を参照できます。
問1:予算管理手法に関する問題
IT投資マネジメントを、プロジェクト単位での最適化を目的とする個別プロジェクトマネジメントと企業レベルの最適化を目的とする戦略マネジメントの二つに分類した場合、戦略マネジメントでの実施項目はどれか。
イ 全社IT投資計画を基にプロジェクトの実施計画を策定し、投資目的・目標の設定と、投資額の見積りを行い、予算の分配を判断する。
ウ 全社規模でのIT投資評価の方法や、複数のプロジェクトから成るIT投資ポートフォリオの選択基準を決定し、全社IT投資テーマを起案する。
エ プロジェクトが完了してから一定期間が経過した後、実施計画段階で設定した効果目標が達成されているか否かを実績に基づいて検証する。
解説:IT投資マネジメントとは
IT投資マネジメントとは、ITを活用して事業に価値をもたらすための予算管理手法です。
問題文の通り、個別プロジェクトマネジメントと戦略マネジメントに分類できます。
ア:実施中のプロジェクトを対象としており、個別プロジェクトマネジメントに該当する記述です。
イ:全社のIT投資計画をインプットとしており、個別プロジェクトマネジメントに該当する記述です。
ウ:複数プロジェクトや投資テーマを扱っており、戦略マネジメントに該当する記述です。
エ:プロジェクトの振り返りは、個別プロジェクトマネジメントに該当する記述です。
問2:TCOに関する問題
TCOの算定に当たって、適切なものはどれか。
イ システム監査における監査対象データの収集費用や管理費用は考慮しない。
ウ システム障害の発生などによって、その障害とは直接関係のない仕入先企業が被るおそれがある、将来的な損失額も考慮する。
エ 利用部門におけるシステム利用に起因する、埋没原価などの見えない費用も考慮する。
解説:Total Cost of OwnershipはITシステムを廃棄するまでの総コスト
Total Cost of Ownershipとは、ITシステムの導入、維持、管理、保守などに要する費用の総額です。
Ownershipとある通り、ITシステムを保有するためにかかるコストすべてをさします。
この「コスト」には、費用だけでなく、ITシステム導入から廃棄までの時間も含みます。
以上を踏まえて選択肢を吟味します。
ア:運用費用もITシステム維持に必要であり、TCOの記述としてあてはまりません。
イ:システム監査で発生する費用もITシステム維持に必要であり、TCOの記述としてあてはまりません。
ウ:ITシステムに直接関係のない要素はTCOに含まないため、あてはまりません。
エ:埋没原価はTCOに含みます。
問3:業務プロセス改善活動に関する問題
物流業務において、10%の物流コストの削減の目標を立てて、図のような業務プロセスの改善活動を実施している。図中のcに相当する活動はどれか。
イ KGI (Key Goal Indicator)の設定
ウ KPI (Key Performance Indicator)の設定
エ MBO (Management By Objective)の導入
解説:その指標は何?
略されていない語句を見るとなんとなくわかってしまいそうな気もしますが・・・
改善活動の図は小難しく書かれていますが、大雑把に次のようなものです。
改善したいことがある
何をどのくらい?・・・(a)
そのために手を付けなければならないことは?・・・(b)
手を付けたとして、何がどう変わればよいの?・・・(c)
以上を踏まえて、選択肢を吟味します。
ア:改善活動の成功を左右する主要な要素のことです。要素(項目)であって、具体的な数値指標ではありませんので、図中の(b)にあてはまります。
イ:主要な目標値のことです。改善が成功したかどうかの判断基準になるので、図中の(a)にあてはまります。
ウ:目標達成への進捗度合いを図るための主要な指標です。図中の(c)にあてはまります。
エ:ある一定期間内の目標を定めて進捗を管理する仕組みのことです。主に人事評価制度に用いられます。
今日はここまで!
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