はじめに
ITストラテジストの過去問を解いて勉強するエントリ(令和元年度)第3弾です。
IPAの過去問ページで原本を参照できます。
今日の問題
出典:令和元年度 秋期 ITストラテジスト試験(ST) 午前2 問11〜問14
問11
企業や組織の目標管理の仕組みとしてOKR(Objective and Key Results)を活用するとき、OKRの目標(Objective)及び主な結果(Key Results)に関する記述として、適切なものはどれか。
イ 目標及び主な結果は会社、事業部、個人など互いに関連のないものを独立して別個に設定する。
ウ 目標は一定期間でのストレッチゴールで人を鼓舞する内容とし、主な結果は定量的なものとする。
エ 目標は定性的なものとし、主な結果は定性的で人を鼓舞する内容とする。
問12
図は、シックスシグマの基本となる日常業務の効率や品質の向上を目指す継続的改善サイクルであるDMAICの活動フェーズである。c に該当するものはどれか。ここで、ア〜エは a〜d のいずれかに該当する。
イ 測定
ウ 定着
エ 分析
問13
ファイブフォース分析において、企業の影響力に影響を与える五つの要因として、新規参入者の脅威、バイヤの交渉力、競争業者間の敵対関係、代替製品の脅威と、もう一つはどれか。
イ 自社製品の品質
ウ 消費者の購買力
エ 政府の規制
問14
コールセンタシステムにおけるIVRを説明したものはどれか。
イ 顧客からの電話に自動で応答し、顧客自身の操作によって情報の選択や配信、合成音声による応答などを行う仕組み
ウ コンピュータと電話を統合し、顧客データベースとPBXを連動させて、発呼や着呼と同時に必要な顧客情報をオペレータの画面上に表示するシステム
エ 着信した電話を、あらかじめ決められたルールに従って、複数のオペレータのうちの1人だけに接続する仕組み
今日の解説
問11:目標管理手法に関する問題
OKR(Objevtive and Key Results)は会社組織の生産性向上を目的として、会社の大目標を各事業部門、部、課などの単位で徐々に細分化した上で最終的に組織目標に連動した個人目標を設定する手法です。
上司は7割程度が達成されるような、ややチャレンジングで定性的な目標設定を促します。
部下は1つの目標に対して、複数の定量的(計測可能)な成果目標を設定します。
似た目標管理の手法にMBO(Management By Objective)があります。MBOは個人の報酬・人事の査定を目的として、自分が担当する職務の中で目標を設定する手法です。
MBOにおいて設定する目標は100%達成されることが前提となり、またその内容や評価指標はその組織(上司)によって異なります。
以上を踏まえて選択肢を吟味します。
ア:主な結果(Key Results)が「定性的」となっているので、誤りです。また主観的な確認ではなく、計測可能でなければなりません。
イ:「会社、事業部、個人など互いに関連のないものを独立して」となっているので、誤りです。
ウ:OKRにおける目標と主な結果に当てはまります。
エ:主な結果が「定性的」となっているので、誤りです。
問12:マネジメント手法に関する問題
DMAICとは、プロジェクトを運営する手法のひとつです。上位の概念として、シックスシグマ(six siguma)と呼ばれる、統計に基づいた顧客満足度向上のための経営手法があります。
DMAICは次の5プロセスから成ります。
- ステップ1 定義 / Define;解決すべき課題を明らかにします
- ステップ2 測定 / Measure;問題が発生している業務に関わる情報を可視化します
- ステップ3 分析 / Analyze;可視化した情報から問題の原因を追求します
- ステップ4 改善 / Improve;推定した原因の解決策を盛り込んだ変更を実施します
- ステップ5 定着 / Control;変更が定着するよう管理します
このうちステップ2(測定)〜ステップ5(定着)はたいてい繰り返し実施します。
よって設問の[c]は4番目のステップなので「改善」が当てはまります。
よく似た手法にPDCAサイクル(Plan, Do, Check, Action)があります。
DMAICはプロジェクト(期限迄に目的を達成する活動)を進める手法であるのに対して、PDCAサイクルはビジネスプロセス(日々の業務)を継続的に改善する手法です。
問13:ファイブフォース分析に関する問題
ファイブフォース分析(5 forces analysis)とは、業界の収益性を分析するための手法です。業界内の外部環境要因を把握することで、自社へやってくる脅威を予測するときに役立ちます。
次の5つの要因について、それぞれの力関係が強ければ強いほど収益性は低く、逆に弱ければ弱いほど収益性は高いものとされます。
- 売り手(サプライヤ)の交渉力
- 買い手(バイヤ)の交渉力
- 競合間の敵対関係
- 新規参入の脅威
- 代替品の脅威
・売り手市場か?
・買い手市場か?
・競争は激しいのか?同業者横並びなのか?
・誰でもできるのか?できないのか?
・代わりは(いくらでも)あるのか?簡単には用意できないのか?
ということです。
問題文中で列挙されていない要因は「サプライヤの交渉力」なので、回答は ア です。
問14:コールセンタシステムに関する問題
IVR(Interactive Voice Response)とは、顧客からの電話に自動音声で対応し、顧客のプッシュボタン操作によってマニュアル化された応対を自動で処理するシステムです。
コールセンタにおいてはインフラ機能として位置づけられます。
コールセンタでよく使われるシステム・装置には次のようなものがあります。
ACD(Automatic Call Distributor):顧客からコールセンタへの電話を、組織内の割り振りルールやオペレータの空き状況に応じて、オペレータへ自動で割り振るシステムのことです。
コールセンタのインフラ設備のひとつに位置づけられます。
PBX(Private Branch Exchange):電話交換装置のことで、内外線通話だけでなく内線どうしの通話も処理します。コールセンタにおける重要なインフラ設備のひとつです。
略称をもとに戻せば予想はつく・・・というか英語で答え言ってるに等しい。
これを踏まえて選択肢を吟味します。
ア:外線と内線、内線同士を交換するので、PBXに関する記述です。
イ:自動音声による応答や顧客の操作を受け付けるので、IVRに関する記述です。
ウ:コンピュータと電話の機能を統合しているので、CTI(Computer Telephony Integration)に関する記述です。
エ:ルールに従ってオペレータの1人に電話を自動でつなぐので、ACDに関する記述です。
今日はここまで!
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